詩集

さ わ や か な 風 に の っ て

「今生きるとき」

ほんのちいさな出来事を
とてもうれしく思うとき

ありふれたことだけれど
何でもないことだけれど

もう二度とはこないとき

 うれしいことも
 かなしいことも
 ほんのちょっとちがう
 だけなのかもしれない

少年はにっこり笑ってこう言った

 ぼくのあとについておいで
 きっといいことがあるから!

すべてのものは
いまここにある

 

「山の道」

 草も木も岩も太陽も

 僕に激しく
 照りつける

 山 山 山
 山 また 山

 ああ 

 蒼く濃く
 輝く緑よ

 少年はひとつ

 おおきな
 おおきな

 あくびをした

 

 「贈り物」~幸福になるために~

 どんなちいさなことにも
 幸せを思う人になりたい

 さあ みんな

 ぼくのあとに
 ついておいで

 ぼくのあとについてきたら
 きっといいことがあるから

 

 「冬眠」

 山河と樹木 

 すべてをつつむ

 冬が来た

 すべてをわすれ

 さあ眠ろう

 

「ぷかぷかぷ~か」~ゆめちゃんへ~

 おとうさんはずっと昔 
 たばこばっかり
 吸っていました

 おにぃちゃんが生まれ
 おねぇちゃんが生まれ
 そして
 ゆめちゃんが生まれ

 うれしくてうれしくて
 いっぱい吸いました

  だけど
  びょういんの先生にゆめちゃんの
  しんぞうの手術をするといわれて

  いっしょうけんめいお祈りしました

  神さまもうたばこは吸わないから
  ゆめちゃんを助けてくださいって

 4時間もかかって

 ゆめちゃんが
 無事に戻って

 それから
 おとうさんは もう

 たばこはやめました

 

 「ふらふら ふらふら」

 ふらふら ふらふら ふらついて
 ふるふる ふるふる ふるえてる
 くるくる くるくる くるまって
 ころころ ころころ ころがった
 きらきら きらきら きらめいて
 ひらひら ひらひら ひらめいた
 ふらふら ふらふら ふらだんす
 こそこそ こそこそ こっそりと
 ひそひそ ひそひそ ひそんでる

-詩集